ミムの部屋

社内SEが,興味をもったことを書いていきます.

二項検定

今回は,統計学の検定の中の「二項検定」を学んでみたいと思います.
まず二項検定の目的は,検証したい帰無仮説を採択するか棄却するかということです.

具体例

A君とB君が,いたとする.A君とB君がジャンケンをして,A君が7勝3敗したとする.
もしA君の方がB君よりもジャンケンが強いかを検証したい場合,次のような仮説を立てて行うことになる.
  • 帰無仮説「A君とB君は,ジャンケンでは同じくらいの強さだ」
  • 対立仮説「A君はB君よりジャンケンが強い」
帰無仮説とは,ある仮説が正しいかどうかの判断を行うために立てられる仮説である. 対立仮説とは,帰無仮説が棄却された時に成り立つ仮説です.
それでは,上の条件でこの帰無仮説が正しいかどうかを判定したいと思います.
  • 片側検定:

    \[ P(f>7)={}_{10}C_{7}×\Bigl( \frac{1}{2}\Bigr) ^{7}×\Bigl( \frac{1}{2}\Bigr)^{3}+{}_{10}C_{8}×\Bigl( \frac{1}{2}\Bigr)^{8}×\Bigl( \frac{1}{2}\Bigr) ^{2}\\ +{}_{10}C_{9}×\Bigl( \frac{1}{2}\Bigr)^{9}×\Bigl( \frac{1}{2}\Bigr)^{1}+{}_{10}C_{10}×\Bigl( \frac{1}{2}\Bigr)^{10}×\Bigl( \frac{1}{2}\Bigr)^{0}=0.1719 \]
  • 両側検定:P=0.3437

この計算により,A君が勝つことが10回中7回であるのは約17%であると分かります.そして,統計的に有意でないとなり,帰無仮説を採択します.最初に立てた仮説が正しいと認められず,「A君とB君は,ジャンケンでは同じくらいの強さだ」という事になります.
ちょっとここで,両側検定と片側検定のことに触れます.上の確率から両側検定よりも片側検定の方が基準が非常に大きいことがわかります.つまり,仮説が正しいと認められやすいです. では,どのような時に使い分けるのでしょうか.参考サイトでは次のように書いてありました.
しかし片側検定を使えるのは、

先行研究等でもう一方の事象が絶対に有り得ないと分かっている場合等,

限られた場合だけです.ですから教科書にも書かれている様に,一般的には両側検定を使います.

参考サイト